家のルーターと無線のアクセスポイント(AP)を別々の機械に分けることにして、AP 側はヤマハ WLX の8機種を比べました。今回はルーター側です。条件は「v6プラス(MAP-E)で使える、安い、ファームウェアが手に入る、SSH で管理できる」です。
候補にしたのは NEC の業務用ルーター UNIVERGE IX シリーズ。家で中古で使う前提で、6機種と古い機種3つを比べました。

先に結論
- 家なら中古の IX2215。ヤフオクで4,000円前後、1G の LAN ポートが10個、ファンレス。NEC の保守対応期限は2030年4月
- ファームウェアは、いまは NEC のサイトからログインなしで落とせる。IX2215 にも2026年8月に新しい版が出ている。NetMeister(無償)からも更新できる
- v6プラス(MAP-E)には Ver.10.1 以降が必要。中古に古い版が入っていても、自分で上げられる
比較表
仕様と日付は NEC の公式サイト(jpn.nec.com/univerge/ix)と NECプラットフォームズのサイト(necplatforms.co.jp)で確認しました。表が横に長くなるので、2つに分けています。
表は横にスクロールできます。
価格・寿命と基本スペック
| 機種 | 発売 | 希望小売(税別) | 新品の最安 | 中古の目安 | LAN ポート | USB | IPv4(bps) | IPv4 over IPv6(bps) | IPsec(bps) | ファン | 最大消費電力 | 販売終了 | 保守対応期限 | 探す |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| IX2215 | 2012/06 | 130,000円※1 | — | 約4,000円 | 1G×10(独立2+SW8) | 1 | 2G | 2G | 1.3G | なし | 18W | 2025/03/31 | 2030/04 | ヤフオク|落札相場|楽天|Amazon |
| IX2207 | 2014/09 | 108,000円※1 | — | 約4,400円 | 1G×6(独立2+SW4) | 2 | 2G | 記載なし | 1G※3 | なし | 24W | 2023/03/31 | 2028/04 | ヤフオク|落札相場|楽天|Amazon |
| IX2106 | 2017/10 | 89,000円※1 | — | 約5,500円 | 1G×5(独立1+SW4) | — | 2G | 2G | 1.2G | なし | 7W | 2024/03/29 | 2029/04 | ヤフオク|落札相場|楽天|価格.com|Amazon |
| IX2235 | 2021/11※2 | 173,000円 | 93,766円 | 約2.7万円 | 1G×10(独立2+SW8) | 1 | 2G | 2G | 1.3G | なし | 19W | 現行品 | — | ヤフオク|落札相場|楽天|価格.com|Amazon |
| IX2107 | 2022/10※2 | 118,000円 | 63,240円 | 約2.2万円 | 1G×5(独立1+SW4) | — | 2G | 2G | 1.2G | なし | 7W | 現行品 | — | ヤフオク|落札相場|楽天|価格.com|Amazon |
| IX2310 | 2021/04 | 523,000円 | 268,564円 | 取引が少ない※4 | 10G×4 | 1 | 10G | 6G | 4G | あり | 50W | 現行品 | — | ヤフオク|落札相場|楽天|価格.com|Amazon |
ファームウェアと管理
| 機種 | ソフトウェアの系列 | 最新ファームウェア(公開日) | MAP-E(v6プラスなど) | SSH | NAPT 最大セッション | 質量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| IX2215 | Ver.10.11 | 10.11.18(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 1.6kg |
| IX2207 | Ver.10.8 で打ち止め | 10.8.47(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 1.0kg |
| IX2106 | Ver.10.9 で打ち止め | 10.9.35(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 0.8kg |
| IX2235 | Ver.10.11 | 10.11.18(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 1.2kg |
| IX2107 | Ver.10.11 | 10.11.18(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 0.8kg |
| IX2310 | Ver.10.11 | 10.11.18(2026/08/05) | ○ | ○ | 25万 | 2.0kg |
販売を終えた IX2215・IX2207・IX2106 にも、現行機と同じ2026年8月5日に新しい版が出ています。ただし IX2207 は Ver.10.8、IX2106 は Ver.10.9 の系列で止まっていて、そこから先の新しい機能は入りません。IX2215 は現行機の IX2235 と同じ Ver.10.11 です。
参考:古い機種
| 機種 | 発売 | 販売終了 | 保守対応期限 | おもな仕様 | 中古の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| IX2105 | 2010/08 | 2019/09/30 | 2024/10 | 1G×5、IPv4 1.3G、IPsec 440M、7W | 約1,300〜3,000円 |
| IX3110 | 2007/06 | 2021/03/31 | 2026/04 | 1G×4(SFP と排他)、IPv4 2.6G、1U ラック型 | 約2,000円 |
| IX2015 | — | 2009/05/29 | 2014/06 | — | 取引が少ない |
古い機種は数千円以下で手に入りますが、ファームウェアの配布が終わっていて、v6プラス(MAP-E)で使える公式の情報もありません。いまから家で使うなら、IX2215・IX2207・IX2106 以降をおすすめします。
各機種の写真
写真は NEC 公式サイトの製品写真です[16]。中古や新品を探すときのリンクは、上の「価格・寿命と基本スペック」の表の右端に置いています。





どれを選ぶか:家なら中古の IX2215
IX2215 を本命にした理由は次の5つです。
- 安い:ヤフオクの落札は本体1台で4,000〜5,000円前後が中心です。後継の IX2235 は中古でも約2.7万円します
- ポートが多い:1G の LAN ポートが10個(ルーター用2+スイッチ8)。小さなスイッチを別に買わずに済みます
- ファンレスで電源内蔵:音がせず、AC アダプターも要りません。最大消費電力は18W(USB を使わなければ14W)です
- ファームウェアの更新が続いている:現行機と同じ Ver.10.11 系列で、2026年8月にも新しい版が出ています
- 保守対応期限が2030年4月:NEC の保守サービスの期限で、今回比べた販売終了機の中ではいちばん先です
そのほかの選び方は次のとおりです。
- ポートは5つで足りる、小さく省電力にしたいなら IX2106(中古約5,500円、最大7W)。ただしファームウェアは Ver.10.9 系列止まり
- 新品や長く使える現行機がいいなら IX2107(新品約6.3万円、中古約2.2万円)か IX2235(新品約9.4万円、中古約2.7万円)
- 10G の回線を使い切りたいなら IX2310。ただし新品で約27万円、最大50W でファンもあり、家向きではない
- IX2207 も中古は安いが、IX2215 と同じくらいの値段でポートが少なく、ファームウェアは Ver.10.8 系列止まり。IX2215 を選ばない理由はあまりない
IX2215 には ISDN(BRI)のポートもありますが、家では使いません。Web の設定画面もありますが、使うには先にコマンドで設定しておく必要があります[2]。NEC の公式チャンネルに、Web の設定画面の紹介動画があります。
中古の IX シリーズを家庭のルーターにした例は、個人の YouTube チャンネルにもあります。動画の機種は1世代前の IX2105 ですが、考え方は IX2215 でも同じです。
ファームウェアは、いまは誰でも落とせる
中古の業務用ルーターでいちばん心配なのは、ファームウェアが手に入るかどうかです。筆者は以前 IX2015 を使っていて、保守契約がないとファームウェアがもらえず苦労しました。2022年ごろは、NEC に「接続申請書」を出して ID とパスワードをもらう方式だったという個人ブログの記録もあります[14](二次情報)。
いまは違います。NEC の各機種のダウンロードページから、ログインなしでファームウェアの zip が落とせます(2026年10月14日に IX2215 の 10.11.18 で確認)[10]。IX2215 の最近の版は次のとおりで、3〜4か月おきに出ています。
- 10.11.18(2026年8月5日)
- 10.11.17(2026年4月24日)
- 10.11.14(2026年1月26日)
- 10.11.9(2025年9月4日)
ページに載っているのは最新版とメンテナンス版だけで、古い版が欲しいときは販売店に問い合わせる決まりです。バージョンアップには「.rap」のファイルを使います[10]。
もう一つの方法が、NECプラットフォームズのクラウド管理サービス NetMeister です。IX シリーズを買った人は無償で使えて、Ver.10.0 以降なら NetMeister からルーターにファームウェアを落とせます。NetMeister への登録と、ルーター側の設定が必要です[11][17]。
v6プラス(MAP-E)で使うときの注意
- Ver.10.1 以降が必要:NEC の v6プラス設定ガイドの前提です。中古の出品には Ver.10.2 など古い版が入ったものもあるので、届いたら最新版に上げてから設定します[12]
- Ver.10.3 以降なら接続方法を自動で判別:ひかり電話の契約の有無で IPv6 の受け取り方(RA か DHCPv6-PD か)が変わりますが、Ver.10.3 以降はどちらでも同じ設定で動きます。Ver.10.2 以前は契約に合った設定例を選びます[12]
- v6プラス以外の MAP-E も公式に対応:OCNバーチャルコネクト、BIGLOBE の IPv6オプション、朝日ネットの v6コネクトが仕様に載っています[4][5]
- IPv6 のフィルターは自分で足す:設定ガイドの基本の設定例には、外から中への IPv6 の通信を制限する設定が入っていません。ガイドにある動的フィルターの設定も追加します[12]
- IX2106・IX2207 は先に設定モードを変える:コマンドで設定するには、モードの変更が必要です[12]
- MAP-E の仕組み上の制限:MAP-E は1つの IPv4 アドレスを複数の契約者で分け合う方式で、使えるポートの範囲が決まっています。これはルーターではなく方式の制限です
Web の設定画面で MAP-E 方式のサービスにつなぐ手順は、次の動画が分かりやすいです(サービスは OCNバーチャルコネクト)。
中古で買うときの注意
- 入っているファームウェアの版:出品の説明や写真に版が書かれていることが多いです。古くても自分で上げられますが、Ver.10.1 より前なら MAP-E の前に更新が要ります
- 初期化済みか:前の持ち主の設定が残っていることがあります。届いたら自分でも初期化します。IX シリーズの初期化は「スーパーリセット」と呼ばれる手順です(下の動画)
- コンソールケーブル:最初の設定は、本体のコンソールポート(RJ-45)と PC の D-sub 9ピンをつなぐケーブルからが確実です[3]。新品には付属しますが、中古は付かないことがあります。いまの PC なら USB シリアル変換も用意します
- 電源ケーブル:電源は本体に内蔵で、AC アダプターは要りません。電源ケーブルが付いているかは確認します
- 型番の末尾:IX2215-Z のように末尾が -Z のものは「ゼロコンフィグモデル」という別の品名です[1]。迷ったら末尾なしを選びます
- 保守対応期限の意味:NEC の保守サービスの期限で、中古で買った本体の修理が受けられるという意味ではありません
- まとめ売りや他機種との混載:「5台セット」などは1台あたりが安く見えます。この記事の中古の目安は、本体1台だけの取引から出しています
まとめ
- 家で使うなら中古の IX2215(約4,000円)。1G の LAN が10ポート、ファンレス、更新も続いている
- 小さく省電力なら IX2106(約5,500円、7W)。新品や現行機がいいなら IX2107 か IX2235
- ファームウェアは NEC のサイトからログインなしで落とせる。NetMeister(無償)からも更新できる
- v6プラス(MAP-E)は Ver.10.1 以降。Ver.10.3 以降なら接続方法を自動で判別する
- 管理は SSH(SSHv2)が使える。最初の設定はコンソールケーブルから
無線のアクセスポイントの選び方は、姉妹記事の「ヤマハの業務用 AP、WLX シリーズを中古で比較」に書いています。
参考情報
- [1] NEC「UNIVERGE IXシリーズ 販売終了機種」— 販売終了日と保守対応期限 リンク
- [2] NEC 各機種の製品ページ(希望小売価格・特徴) IX2215|IX2207|IX2106|IX2235|IX2107|IX2310|IX3110
- [3] NEC「ハードウェア仕様」 現行機種|販売終了機種
- [4] NEC「ソフトウェア仕様 販売終了機種」— 最終リリースバージョン、MAP-E、SSH リンク
- [5] NEC「ソフトウェア仕様」(現行機種) リンク
- [6] NEC「UNIVERGE IXシリーズ 更新履歴」— 各機種の発表・販売開始 リンク
- [7] NEC プレスリリース「UNIVERGE IX2207」販売開始(2014年9月2日) リンク
- [8] NEC プレスリリース「UNIVERGE IX2310」販売開始(2021年4月7日) リンク
- [9] NEC「価格改定のお知らせ」(2026年10月1日出荷分から) リンク
- [10] NEC「プログラムファイル・ダウンロード」(IX2215。ほかの機種は同じページの機種タブから) リンク
- [11] NEC「FAQ 共通」— NetMeister からのファームウェア更新、NetMeister の無償利用 リンク
- [12] NEC「v6プラス(MAP-E方式)設定ガイド」 リンク
- [13] NECプラットフォームズ 各機種の製品ページ(IPv4 over IPv6 性能など) IX2215|IX2106|IX2235|IX2107|IX2310|IX2105
- [14] 個人ブログ(二次情報)— 以前の申請制のファームウェア入手方法 リンク
- [15] 販売店の商品ページ(発売日の表記) IX2235(NTT-X Store)|IX2107(NTT-X Store)|IX2235(価格.com)
- [16] NEC「UNIVERGE IXシリーズ ダウンロード」— 製品写真 リンク
- [17] NECプラットフォームズ「NetMeister」 リンク
価格は2026年10月14日に調べた値で、新品は価格.com、中古はヤフオクの過去180日の落札結果をもとにしています。中古の目安は、落札一覧の先頭100件からまとめ売り・ジャンク・他機種との混載を除いて本体1台の取引だけを数えた中央値の概算です。


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